こややし(ブックワーム人民)🖖 on Nostr: ...
アドリアン・ダウプ著藤崎剛人訳『「キャンセル・カルチャー」パニック パニックを生み出す言説空間』を読んだ。日本でも喧しい「キャンセル・カルチャー」の内実を、言説分析の手法によって、その言葉の歴史から具体的な事例の分析、メディアでの扱われ方、アメリカから各国への拡散の状況などを書いている。これを読むと「キャンセル・カルチャー」や「ウォーク」など新しい言葉で呼ばれ、最近生まれたもののように思われる事態が、実は「四〇年間にわたって蓄積されたアメリカにおける保守派の言説、用語、そして山ほどの「真実の物語(アネクドート)」を再利用したもの」だということがよく分かる。それは更に遡れば、1966年にカリフォルニア州の知事選に出馬したロナルド・レーガンによるカリフォルニア大学バークレー校への攻撃に始まる大学ないし大学教育への右派(宗教保守・ネオコンなど)によるバックラッシュと軌を一にして進行してきた。
高市早苗に316議席を与えるほど、保守主義・宗教右派的言説が根付いている今の日本でも、キャンセル・カルチャー言説が広がっているのは、この本で分析されているアメリカはじめヨーロッパ諸国と同じだろう(それぞれの国でニュアンスは大分違っているが)。原著では言及されない日本の事例分析は、訳者解題で、藤崎剛人さんが書いている。
ファンダムやメディア、大学などで展開されるキャンセル・カルチャー言説への批評という側面が強く、意外なほど面白く読めるのでおすすめ。
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